昨年末、「住宅ローン控除の適用誤り」 がニュースになりましたね。
最大1万4500人に「追加納税」の可能性 もあるそうです。
詳細は、こちら
🔗国税庁:(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ
今年からは、要件チェックも厳格化の方向にあるでしょう。
併用できない不動産特例があったり、資金贈与のあるケースなどは要注意です。
要件をよく調べ、分からない場合は国税庁のタックスアンサーを利用するなど、
早め早めに準備して、確定申告を行いましょう。
今回は、「確定申告まとめ」と題し、「住宅ローン減税」をメインに、
多くの方が該当することが多い、「医療費控除」「ふるさと納税」の申告にもふれていきます。
家を購入した方はもちろんのこと、これから家を購入しようという方も、それ以外の方も、
どうぞしっかりチェックしてみてくださいね!
※執筆時点での情報です。細かな条件や法令改正などありますので、都度最新情報のご確認をお願いいたします。
個々の事例につきましては、税務署や税理士さんへとご相談・ご確認ください。
目次
家を買ったら確定申告を忘れずに
今年も確定申告の季節がやってきました!
平成30年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告の相談及び申告・納税は、
平成31年(2019年)2月18日(月)から同年3月15日(金)まで です。
※還付申告については、平成31年(2019年)2月15日(金)以前でも行えます。
家を買ったら忘れずにしたいのが「住宅ローン控除」の確定申告です。
支払った税金から還付が受けれますよ…♪
「確定申告」とか「税務署」など、日ごろ接することのないものですので不安はつきもの。
初めてだとよく分からないことも多いかと思いますが、
ひとつひとつクリアし、申告期限の3月15日までに税務署に提出できるよう頑張っていきましょう☺
確定申告とは?
個人事業主や賃貸不動産業(大家さん)などは、収入や費用などを計算し、
自ら申告して所得税の確定申告の必要があります。
所得税及び復興特別所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。
サラリーマンの確定申告は必要あるの?
会社員の場合、職場で書類を提出し勤務先で「年末調整」してくれますので、
原則ご自分で確定申告する必要はありません。
しかし、下記に1つでもあてはまる場合は、会社員でも確定申告をしなくてはなりません。
国税庁が発表している「給与所得者で確定申告が必要な人」の条件は、以下のとおりです。
1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
4 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
5 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
6 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
7 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人(注) 給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りません。
1 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの
2 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
3 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
4 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等
5 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
6 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)出典:国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人
住宅ローン控除について
住宅ローン控除とは
住宅ローンの残高1%相当額が、10年間、所得税から減税されます。
控除対象となる残高の上限は、4000万円(認定住宅等は5000万円)で、
控除額は最大400万円(認定住宅等は500万円)。
所得税から控除しきれない額は住民税からも一定額まで控除可能です。
住宅ローン減税は消費税増税を踏まえた住宅取得対策ということもあり、売主が個人の中古住宅の売買(非課税)など、住宅の取得が特定取得以外の場合は、最大200万円(長期優良住宅等の認定住宅は300万円)となりますので、注意が必要です。
居住の用に供した年〔平成26年1月1日から 平成33年(2021年)12月31日まで〕 |
控除限度額〔年末残高等×1%〕(最大合計控除額) | 特定取得以外の場合 控除限度額 |
住宅取得 | 40万円 (400万円) |
20万円 (200万円) |
認定住宅の新築等の場合 | 50万円 (500万円) |
30万円 (300万円) |
住宅ローン控除と住宅ローン減税の違いは?
「住宅ローン減税」「住宅ローン控除」という二つの言葉を耳にすると思います。
いったいどう違うのでしょうか?
実はどちらも『通称』であり、正式な制度名称は【住宅借入金等特別控除】というのです。
「住宅ローン減税」は広義で使われるケースもありますが、
通常どちらも『同意語』で使われています。
住宅ローン控除の利用条件はあるの?
利用できる主な条件は3つ
①登記簿上の床面積が50㎡以上 ②住宅ローンの返済期間が10年以上 ③所得金額が3000万円以下 です。
この他にも条件がありますので、詳しくは国税庁のサイトで確認してみましょう。
参考:国税庁
🔗住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
また、購入資金の贈与があった場合や他の特例を使用している場合に併用できるかなど、チェックが必要です。今までに間違いが多く申請されていたケースも確認しておきましょう。
参考:国税庁
🔗(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ
利用条件の注意ポイント
上記の利用条件「①登記簿上の床面積が50㎡以上 」ですが、壁芯と内法で測るケースがあり、広告表示の床面積では50平米以上あっても、登記簿上の面積は50平米より小さくなるケースもあるので注意が必要です。
また、繰り上げ返済をご計画の場合は 、住宅ローン控除を優先したほうがお得になるケースもありますので、繰り上げ時期などを一度シミュレーションしてみるとよいでしょう。
壁芯面積と内法面積
建物の登記簿面積は、一戸建てとマンションについて、それぞれ別の面積の計測方法が定められています(不動産登記規則第115条)
戸建は各階の床面積を表記し、「壁などの中心線で囲まれた部分の壁芯面積」とされており、
一方、マンションの住戸については、「壁などの内側部分の内法面積」とされています。
マンション・戸建のパンフレットや広告に掲載される面積、戸建の登記簿面積
内法面積の表記:マンションの登記簿面積
マンションのパンフレット等に記載される「専有面積」は、
壁などの中心線で囲まれた部分の壁芯面積なので、登記簿上の面積は専有面積より狭くなります。
50平米位のマンション購入時は、しっかり確認しておきましょう 。お部屋の形状にもよりますが、壁芯よりも内法のほうが約3〜5%小さくなります。
余談ですが、土地については、登記簿の面積と実際に測った面積(実測面積)とが異なるケースもあります。
このため不動産売買時、登記簿の土地面積をもとに価格を決める「公簿売買」か、実測した面積による「実測売買」かを確認することが大切です。
住宅ローン減税の国税庁サイト
細かな要件等については、国税庁のサイトでしっかりチェックしましょう。
🔗住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
🔗(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ
住宅ローン減税の確定申告手続きをやってみよう
確定申告は2月16日から3月15日まで
確定申告といえば、提出時期は2月16日から3月15日となっています。
しかし、所得税の還付を受けるための申告についてはこの期間を待たずに提出することもできます。
また、「うっかり住宅ローン控除の申告忘れていた」 といった場合には、遡って5年以内なら申告可能です。
会社員は、勤務先で年末調整を行ってくれるので、自分で確定申告を行ったことがない方も多いと思います。でもあまり心配しなくても大丈夫! 確定申告は今までも多くの方が行ってきた手続きですので、web等での情報も豊富。また税務署のそれぞれの地域で確定申告作成会場があり、丁寧に教えて頂けます。
国税庁サイト「確定申告書作成コーナー」で作成がおすすめ
筆者も確定申告経験者です。
ソフトなども使ったことあるのですが、それよりも国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が一番わかりやすく使いやすかったです。
源泉徴収票などの必要資料を手元に用意し、あとはナビゲーションにそって手元の資料をみながら入力していくと、自動計算されます。
出典:国税庁 🔗平成30年分 確定申告特集
🔗確定申告等作成コーナー
住宅ローン控除の確定申告に必要な資料
入力に必要な書類の用意
控除額の計算に必要ですので、以下の全ての書類を用意しましょう。
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 住宅の登記事項証明書など
- 住宅の売買契約書や工事請負契約書など
- 土地の登記事項証明書など
- 土地の売買契約書など
※「借入金の年末残高等証明書」は、銀行等の金融機関から郵送されます。
その他確定申告に必要な書類
その他、該当する項目があれば必要な書類を用意します。
- 源泉徴収票
- 保険料控除(勤務先で行った場合は必要ありません)
- ふるさと納税
- 医療費控除
- その他確定申告に該当するもの
確定申告等作成コーナーで住宅ローン控除の入力のしかた
国税庁の「確定申告等作成コーナー」は、直感的の操作でき、
ナビゲーションに沿って入力していけば概ね出来上がります。
全体の流れの流れについては、国税庁のサイトに詳しく出ています。
※給与所得者(事業所得や雑所得がない場合)は「確定申告書B」を使用します。
🔗(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合(居住の用に供した年の記載例)
確定申告作成につまずいたら
web等での情報も豊富な確定申告ですが、申告期間には、税務署に説明員の方が常駐しているケースも多く、丁寧に教えて頂けます。
分からないことがあったら、書類一式を持参し会場に足を運んでみましょう。
申告期限が近づくと、税務署の相談コーナーや電話問合せなども、混み合って待ち時間が長くなる傾向にあります。
ご相談先の電話番号や会場は、下記のリンクよりご確認下さい。
🔗平成30年分確定申告 相談・申告 会場一覧
🔗国税に関するご相談について | 国税庁
🔗国税庁 税についての相談窓口 TEL&FAX
ほかにも確定申告で還付が受けれらるものはあるの?
ふるさと納税
手軽な節税で、なおかつ地域の支援にもなる「ふるさと納税」は人気ですね!
最近では加熱しすぎ?!で色々ニュースにもなっていますが・・・、
ぜひ活用したいものですね♪
節税できる上に返礼品がもらえたり、支援もできたりと、嬉しいコトずくめの「ふるさと納税」ですが、控除枠を使い切ってしまうと節税効果はないので、ご自分の収入での年間控除額上限を確認してみて下さいね!
出典:総務省 🔗ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
また、ふるさと納税は下記要件をみたすと「ワンストップ特例制度」で確定申告が不要になります。
- ふるさと納税先が5以下であること(5つの自治体まで)
- 確定申告をする必要がない人
- 寄附金税額控除に係る申告特例申請書をふるさと納税先に提出すること
医療費控除
医療費控除とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の医療費が10万円を超えた場合、所得控除を受けられる制度です。
病気の通院や入院、出産、交通費や市販の薬など、原則「治療」のためのものが対象です。
例えば、「健康診断」は治療ではなく予防の為なので対象外ですが、それで重大な疾病がみつかり引き続き治療した場合は、健康診断も対象になります。
また自分だけではなく家族のために支払った医療費も対象。1年間の家族全員の医療費が対象になりますので、家族の医療費のレシートは必ず保管し、交通費などの記録を残しておきましょう。
平成29年分の確定申告から通常の「医療費控除」は、提出書類が簡略化され、
プラス新たに「セルフメディケーション税制」が創設されました。
セフルメディケーションは、
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、申告年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円以上の対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
ただし、
「医療費控除」か「セルフメディケーション」のどちらかを選択しなければなりません!
どちらがお得になるか、試算し、有利なほうを選択しましょう。
国税庁サイト 🔗セルフメディケーション税制の概要・手続きなど
寄附金の控除
震災等で日本赤十字社、NPO法人などに寄附を行った方はいらっしゃいませんか?
先に紹介した「ふるさと納税」も、実はこの寄附金の控除に含まれます。
寄附金を支出をした場合、
一定のものについては「寄付金控除(所得控除)」あるいは「寄附金特別控除(税額控除)」が受けられます。
どちらが有利になるのかは、寄附金の額と、課税所得によって左右され、
一般的には「所得が多くて、寄附金の額も相応の額」の場合は、「税額控除」の方が有利になる傾向があるようです。
国税庁サイト 🔗寄附金を支出したとき
家を売った場合やその他還付や課税のケース
不動産の売却をした場合、損失がでれば譲渡損失での還付や、利益の譲渡所得については課税があります(特例や軽減措置等あり)
また、最近話題のビットコインなどの仮想通貨は雑所得として利益の課税や、株取引では利益・損失について確定申告できますので、色々調べてみましょう。
家を売った場合の確定申告はこちら
〔まとめ〕確定申告お役立ちリンク
出典:国税庁
住宅購入時のその他お得情報
すまい給付金
「すまい給付金」とは、消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設された制度です。
もともとある「住宅ローン減税」は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、実は収入が低いほどその効果が小さくなってしまう のです。対象の方はこの機会に合わせて手続きしてしまいましょう!
スーモアンケート
マイホームを購入したら、suumoのアンケートに回答すると、回答者全員もれなく5000円ギフトカードがもらえます♪
お家を購入する時の体験って、実は誰かの役に立つものです。エリアや条件に合致する方は、
折角の貴重な体験談をシェア・還元しつつ、ギフトカードもゲットしちゃいましょう!
税金の還付
いつごろ還付されるの?
確定申告は、大量の申告書が提出される時期ですので、還付金の支払手続にはおおむね1か月から1か月半程度の期間を要するようです。
還付が楽しみですね…♪
固定資産税がやってくる!
住宅ローン減税の還付って、まとまった金額なので嬉しいものですが、
実はそのあと固定資産税の請求もやってきます。
嬉しい還付でお財布の紐も緩みがちですが、不動産を購入したら固定資産税支払いにも、しっかりと備えておきましょう。
来年の確定申告は?
住宅ローン減税二年目以降の確定申告の手続き
二年目以降の住宅ローン控除は、年末調整でやってもらえます!
ですが、ふるさと納税や医療費控除などがある場合には、この経験がまた役に立つのではないでしょうか。
提出後間違いに気づいたら?
平成29年分以前の申告書に誤りがあった場合は、更正の請求書、修正申告書の提出を、
また、平成30年分の申告書に誤りがあった場合は、正しい申告書を作成し直し、再度提出することになります。
増税後の住宅ローン減税拡充について
2019年10月の消費税率引き上げに際し、住宅ローン減税の拡充措置があります。
従来に加え、3年間延長 となりました。(10年⇒13年間)
【住宅ローン減税3年間延長(10年間⇒13年間】
適用年の11年目から13年目までの各年控除限度額(一般住宅の場合)
以下のいずれか小さい額
①借入金年末残高(上限4,000万円)の1%
②建物購入価格(上限4,000万円)の2/3%(2%÷3年)
※認定住宅の場合は、借入金年末残高の上限:5,000万円、建物購入価格の上限:5,000万円
※消費税率10%が適用される住宅の取得をして、2019年10月1日~2020年12月31日までの間に居住の用に供した場合に適用
これから住宅を購入する方は増税後の支援策あり
また、今年は10月に消費税率引き上げられます(8%⇒10%)
消費税率の引き上げに伴う4つの支援策が予定されています。
※予算案、関連税制法案が今後の国会で成立することが前提(④を除く)
①住宅ローン減税の控除期間が3年延長
(建物購入価格の消費税2%分減税(最大))
②すまい給付金が最大50万円に、
対象者も拡充(収入に応じて10万円~40万円増額)
③新築最大35万円相当、リフォーム最大30万円相当
新たなポイント制度創設
④贈与税非課税率枠は最大3,000万円に拡大
(現行は最大1,200万円)
それぞれくわしく記事にして参ります。
さいごに
申告を終えてみると、「難しかった」「以外に簡単だった」など感想はさまざまだと思います。
初めての場合はなにかと手間取り、「足りない書類があった」「税務署にいってみてもらったらやり直しだった」なんてこともありますので、余裕をもって早めに進めていきましょう!
家を売った場合の確定申告はこちら
THDC -Tokyo Housing Distribution Center-
東京住宅流通センター株式会社
https://thdc.co.jp